獣医学部生の周東食肉センター(牛肉のと畜解体施設)見学に同行取材(2024年8月20日)

周東食肉センター(岩国市周東町)にて、山口大学共同獣医学部の授業の一貫として、施設と作業工程の見学が実施されました。
学生は4名ずつが順番に獣医師(県職員)の説明を聞きながら、工程を巡ります。と畜後から皮の処理、内臓等の検査、枝肉への解体と冷蔵まで。先導する獣医師からは、各作業の衛生面への細やかな配慮や獣医師による安全性についての検査・確認について、丁寧な説明が続きました。

一般の消費者にはあまり知られていないことですが、家畜の生産からと畜解体、食肉の生産・販売の全ての過程に獣医師が、食肉としての安全を検査し確認することになっています。獣医師は食肉の安全を守る、いわば番人の役割を果たしていると言えます。
周東食肉センターにおいても、県職員として獣医師が4人程度常駐しています。と畜・解体の現場で、観察・検査し、安全性が担保された個体だけが、食肉として流通する仕組みです。
実際に内蔵等を並べて検査する獣医師の仕事ぶりを見学しました。
「ここでリンパが腫れていないか、横隔膜の状態はどうか…」と熱心な説明。実物を見ながらの授業に、学生たちも目を輝かせていました。

見学を終えた学生に話を聞きました。
「各工程が合理化されているシステムだなと…。病気への対策も確実な方法がとられていることがわかりました」と男子学生(4年)。馬や牛などの大型動物が好きで、今後の進路の選択にも、とても参考になったとのこと。
ある女子学生(4年)は、「授業では流れを聞いていたけど、実際に見ることができて、特にBSEに検査の様子など、参考になりました」。彼女も牛や馬の大動物が好きで獣医師を目指したとのこと。就職は公務員を希望しており、「食肉センターに来るかも?」と笑顔で話してくれました。

獣医師を目指す学生は近年、犬・猫などの小型動物を進路として希望する学生の割合が比較的多い傾向にあります。しかし、この見学で獣医師の活躍を目の当たりにすることにより、大型動物を選択肢に加える学生もあることを知りました。
2017年から始まったこの授業は、これまでも、そしてこれからも、多くの獣医学部生に現場でしか得られない貴重な知見を与え続けることでしょう。

周東食肉センターでと畜・解体処理を行っている玖西食肉加工事業協同組合(理事長・安堂卓也)は山口大学共同獣医学部・岩国市と共に獣医師の育成に関する連携協定を締結(2024年3月29日)。今後は、岩国市の中高校生を対象に、獣医学部の教授による授業も計画されています。追って、その様子もレポートする予定です。

[取材協力]
岩国市
山口大学共同獣医学部
玖西食肉加工事業協同組合