第1の胃袋「ミノ」が一番うまい料理はなに?

牛には4つの胃袋がありますが、最初に食物が入る第一の胃のことを「ミノ」と言います。その名の由来は、切り開くとミノ笠のように見えるからとのことです。
安堂会長から手渡されたミノは、既にカットしてあり、そのミノ笠の形を確認することはできませんでした。ホルモンにしては「白くて柔らかくて、きれい」が第一印象でした。

加工前

さばいてみる

肉料理の本やYouTubeなどを参考に、包丁を片手にミノと向き合います。実は、これまでは家庭用の包丁を使っていましたが、肉用の筋切り包丁を手に入れて、今回がそのお披露目です。
「この包丁はよく切れるから、気を付けるように」との安堂光明会長からの助言を思い出して、緊張が走りました。なにせよく切れます。まな板が何度も削れました。
さて、ミノのなかでも肉が厚いところが、価値ある部位です。焼肉屋では上ミノとして提供されます。それをきれいに切り出すために、表面を覆う脂身は削ぎ落します。

脂そぎ

そして、まるで鱧の骨切りのように、深めに切り込みを入れます。硬い肉質を食べやすくするためです。切り込みは格子状に入れて、食べやすいサイズに切れば完成です。

切り込み

まずは定番、焼き肉で実食

焼肉もりつけ
焼肉

塩とコショウ、ゴマ油で下味を付けて焼きました。
焼けば、格子状に入れた切り込みが開き、そこから肉汁がじゅわっと出てきます。焼き過ぎると固くなるイメージなので、ここらで口に入れると、歯ごたえ十分。臭みもなく、噛むたびに肉汁が出てきて、美味しいです。
もっと焼いたものも食べてみると、硬さが増していますが、これはこれで香ばしさがあって美味しい。さっそくビールが欲しくなりました。

天ぷらと唐揚げ、どっちが美味い?

「ミノは天ぷらが美味しいですよね」とスタッフが言うので、挑戦してみました。ついでに唐揚げにも。さて、お味のほどは…。

揚げる
天ぷら

天ぷらを食べてみれば、スタッフの言う通り。これは美味しい!歯ごたえのなかに、うま味が増したような感じがします。天つゆよりも塩でいただく方が美味しかった。
「これは日本酒ですね」と、隣でスタッフがつぶやきました。
安堂会長によれば、天ぷらの衣にカレー粉を入れると「これまた美味しい」とのことです。

唐揚げ

唐揚げは、いかにも美味しそうで、見た目はナンバーワンです。しかし、口に入れれば、ミノの味わいというより、唐揚げ粉の味付けが強すぎる印象です。
結果、軍配は天ぷらに上がったのでした。

野菜と炒めてみる

ミノのチンゲン菜ともやし炒め

もやしとチンゲン菜で中華風に炒め物を作ってみました。ミノをさばいたときに出た肉の薄いところを使って、さらに薄くスライスして投入。ミノのコリコリした食感が面白い野菜炒めになりました。これはご飯が進む一品です。

最後に湯引き

湯引き

やはり薄く切ったミノを昆布と酒を入れた湯で3分くらい茹でて、冷水でしめました。ポン酢を付けていただいてみると、これがなかなか乙なのです。あっさりしていながら、コリコリ噛めば旨味が出てきます。
よく考えてみれば、これはお通しで出てきそうな一品。最後に作る料理ではありませんでした。

さて、終えてみればミノ三昧5品。色も白くて淡泊な味わいのミノですが、料理によって色々と楽しめることがわかりました。特に気に入ったのは天ぷらと湯引きです。おっと、順番を間違えてはいけません。まずはお通しで湯引き。その後、濃厚な味わいの天ぷら。これが今回の結論です。

では、未知なる部位と料理を求めて、牛肉珍味の旅は続きます。
なお、安堂会長からの注意もむなしく、記者の指にはバンソウコウが…。よく切れる包丁には注意しましょう。慣れてきたと思ったころが一番危ないです。はい。