超希少部位・ミミクリに相棒が誕生!
その名は「ウチボウ」
「えっ!またミミクリ?」(牛肉珍味No.31)とがっかりすることはありません。前に紹介した超希少部位のミミクリには、「一緒に採れる肉がある」とのこと。安堂光明会長は、その肉のことを「ウチボウ」と呼びます。ミミクリが耳の付け根の当たり、人で言えばコメカミに当たるお肉で、このウチボウはそれより口に寄った内側。つまりほほ肉の内側のお肉になります。ミミクリを採り出そうとすると、先にこのウチボウを採る必要があるとのことです。
「ミミクリと一緒にセットで売れると都合がいいのだが…」と安堂会長。1頭に100g程度しかないミミクリに、それより2周りくらい大きなウチボウがセットになれば、それだけ食べ応えがあります。しかし、問題はその味です。果たして、とっても美味しいミミクリとセットするのに相応しい味わいなのかどうか。今回はこの検証も兼ねてのトライアルになりました。
ちなみに、ウチボウをネットで検索してみたら、そのような牛肉の部位はヒットしませんでした。安堂会長も、この地域だけの呼び名ではないかと言います。これはもしかすると、ミミクリに続くとんでもない希少部位の出現か!と、料理前から胸は高鳴るのでした。
まずは焼肉に挑戦
ミミクリは霜降りで、ほほ肉に似て味わい深く、でも、ほほ肉よりも柔らかいという特性があります。だから焼いても煮てもとても美味しかった。さて、このウチボウはどうなのか?
見た目はというと、ミミクリのような霜降りではありません。しかも白いスジのような膜が表面にも中にもあって、いかにも硬そう。あまり美味しそうではありません。
そこで、表面の膜はあらかじめ削ぎ取りました。そして少しでもスジの硬さが気にならないように薄くスライスしてみました。
ミミクリとウチボウを並べて、塩と胡椒だけで味を付けて、網焼きにしてみました。
まずはミミクリから実食。やはり美味しい。霜降りでほどよい弾力があって、噛むほどに濃厚な旨味が出てきます。さて、次は問題のウチボウです。
口に入れて噛んでみて、驚きました。なんと、スジの硬さがないのです。薄くスライスしたからでしょうか? これまた柔らかくて美味しい。霜降りの脂の旨味はミミクリに及びませんが、これはこれで肉のうまみも十分で、とても美味しいのです。もしかしたら、あっさりした赤身肉が好きな人には、こちらが好みかも知れません。肉というものは、食べてみないとわからないものですね。
ワインで煮込んでトマトソースのパスタに!
「最近、料理のレパートリーがマンネリ化しているのでは?」と、同僚から指摘されていたので、今回はパスタを作ってみることにしました。しかし、超が付く希少部位のミミクリやウチボウを使ったレシピなど、ネット上にあるはずもない。そこで、味わいが似ているほほ肉のレシピから、ワイン煮のトマトソースパスタを作ってみました。
ほほ肉のような硬さはないから、30分ワインで煮込むところを15分程度にして、ニンニクとオリーブ油、そしてカットトマトを加えて、塩・胡椒とパルメジャーノチーズで味を調えました。
この見た目と香りが、食欲をそそります。たっぷり入れた肉片はミミクリとウチボウ。ワインで煮ると、どっちがどっちなのか…。とにかくお肉を口に入れてみると、赤ワインのコクと苦みが口に広がり、なんとも大人の味わい。食感はほほ肉よりも柔らかく、でも味わいは、ほほ肉のワイン煮です。トマトソースとの相性も良く、美味しくパスタを平らげました。
ネギと炒めてみる
最後にあっさりしたものが食べたくて、ネギと一緒に炒めてみました。シンプルに塩・胡椒で味付けをすれば、ウチボウとミミクリの違いもわかるというもの。
肉の中に筋が通っているのがウチボウです。少し炒め過ぎたのか、少し硬いものもありましたが、ほとんどは、焼肉の時と同じように柔らかく、とても美味しくいただきました。
結論
3品調理した結果を踏まえて、安堂会長に高らかに宣言したいと思います。
「大丈夫です。ウチボウもミミクリに負けず劣らずとっても美味しいです。どうぞ一緒にお売りください!」
そして、お薦めの料理法はというと…。シンプルに塩と胡椒で味わう焼肉です。霜降りのミミクリと赤身のウチボウの違いも分かるし、なんといっても濃厚な味わいが、両方ともしっかり楽しめます。しかも、見た目は硬そうなウチボウも薄くスライスすれば、柔らかくて美味しいのです。
そして、このセット商品に名前を付けてみました。その名も「ミミクリボウ」です。
もし安堂グループ直営「肉のこーべや玖珂店」にお目見えしたら、すぐに買いに走ります!
では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。