一枚でいろいろ美味しい!Tボーンステーキ
冷凍庫の整理をしているとかで、安堂光明会長が打合せに持参したのは、大きなステーキ。よくみると骨がついている。
「Tボーンステーキでね。あまり店頭には並ばないから、試してみるか?」
ということで、今回はTボーンステーキを取り上げることにしました。
Tボーンの名の由来は、T字の骨が付いているから。牛のお尻に近い背中。脊柱とその周りのお肉です。T字の上の方(写真)がヒレ肉。下の方がサーロイン。この牛はホルスタインの未経産牛(子どもを生んでいない)で、月齢は26か月と若い雌です。熊本の市場で仕入れた後、高森肉牛ファームで4ヶ月肥育して太らせ、サシの少ない赤身の肉質に仕上がっています。
「厚く切ったTボーンを豪快に食べるのが美味しい」との安堂会長の言葉どおり、最大で厚さ3cmのステーキです。
ステーキしかないでしょう!
バーベキューで炭火焼きにしたいところですが、今回は手軽なフライパン料理に挑戦しました。
余分な脂をカットといっても、もともと脂身の少ないお肉ですから、端のほうの脂を切ると、それをフライパンで熱して使いました。
まず表面を強火で焼いて焼き色を付けます。そのとき、切り口の側面も焼くことを忘れないようにしましょう。30秒くらいずつ両面を焼きました。
次に火を弱めたら、バターとニンニクをフライパンの隅に投入。溶けたバターをスプーンでお肉に何度もかけます。「美味しくな~れ」と呪文のように、片面3分くらい、両面にまんべんなくかけます。たっぷりのバターで、バターが焦げないように、弱火でじっくりやるのがコツです。
焼き終わったらすぐに食べたいところですが、ここは我慢。10分くらいアルミホイルに包んで休ませます。こうすることで肉汁が落ち着いて、ナイフで切っても肉汁が流れ出ないそうです。
実食! そして痛恨のミスが…
この美味しそうなステーキを見てください。今までの牛肉珍味の旅のなかでも、ベスト3に入る見た目です。満を持して食いつきました。
まずは、サーロイン側(写真の下側)の脊柱に近いところから…。しかしこれがなかなか噛み切れません。お味は良いのですが、ちょっと硬め。少しパサパサした感じもします。
そこで気を取り直して、脊柱から離れたところを食べてみると、「おや!? 少し柔らかい」。噛むほどに肉汁も出てきました。
さらに、思い切ってヒレ側(写真の上側)を頬張ってみると、その柔らかさにびっくりです。赤身肉の味わいが口に広がりました。
Tポーンステーキとは、一枚で異なる肉質と味わいを楽しめる逸品。サーロインからヒレへ、その中間の肉質さえも味わえるのです。
そして食べ終わったときに気付きました。焼いた後にお肉を休ませたアルミホイルに、肉汁が溜まっているではありませんか! なめてみると、極上の味わいです。これをステーキに掛けて仕上げれば、もっと美味しかったはず。悔しさに唇を噛みました。
そんな記者を尻目に、調理を手伝ってくれた助手は骨にくっ付いているお肉に夢中でした。骨をしゃぶるようにして味わうこともできる。まさしく、一枚でいろいろ美味しいTボーンなのでした。
痛恨のミスに気付きましたが、心配無用。普通のスーパーでは見ることのほとんどないTボーンステーキですが、安堂グループの肉のこーべや玖珂店なら、かなりの確率で買い求めることができます。さっそくリベンジを誓う記者でした。
では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。