ツラミ(ほほ肉)の王道ワイン煮、そして人生初の焼肉の味はいかに!?の巻
意外にお得なお値段
一般的には「ほほ肉」で知れていますが、お肉屋さんでは、「ツラミ」、「カシラ」と呼ぶようです。安堂グループの直販店「肉のこーべや・玖珂店」で見つけた「ほほ肉」には「カシラ」と表示されていました。
驚いたのは、そのお値段。ツラミは言わずと知れた希少部位。レストランでワイン煮を頼めば、なかなかの高額です。ところが、500~600g(冷凍)くらいがなんと1,200円前後でした。つまり、グラムが200円代です。しかも、高森牛ときています。実は、ツラミは財布に優しいのです。
下処理…表面の脂と膜を取るのに汗
ツラミには表面に白い脂の層と硬い皮膜があります。これを包丁で削ぐように取る必要がありますが、慣れない記者には、これがなかなかの仕事でした。脂と肉の際、ギリギリを狙って四苦八苦。できるだけ肉を削がないようにという貧乏根性が、我ながら嫌になりました。
王道・ワイン煮に挑戦
ネット上には色々なレシピが紹介されています。なかにはワインに1日漬け込んでから煮込むという手の込んだものまで…。記者は1時間の漬け込みで挑戦することにしました。
【材料・調味料】4人前
- ツラミ;400~500g
- 赤ワイン;200cc
- 水;300~350cc
- にんにく;1かけ
- 玉ねぎ;1個
- オリーブオイル;大さじ1
- コンソメ;小さじ1
- ローリエ;1枚
- 砂糖;小さじ1
- 塩・あらびきコショウ;適量
①ツラミを適当な大きさに切り、塩・コショウをして赤ワインに漬け込む。
記者は1時間漬け込みましたが、後で思えば、前日から漬けていればもっと美味しかったのかなと思います。
②フライパンにオリーブオイルを入れ、ニンニクで香り付けしたら、漬け込んでいたお肉だけを焼いて、焼き色を付けます。その時、ワインは捨ててはいけません。
③肉に焼き色がついたら、鍋に移し、そのフライパンでそのまま玉ねぎを弱火でじっくり炒め、これも鍋に移動。
④残していた赤ワインと水を鍋に入れて、コンソメ、砂糖、ローリエを投入。ここからじっくり弱火で1時間以上煮込みます。煮汁が半分くらいになるくらい煮込みました。
グツグツと煮込む間、いい香りがキッチンを包みます。
さて、実食です。
「ツラミはスジがあって硬いから気を付けて!」と安堂会長から事前に助言をもらっていたから、正直、1時間くらいの煮込みで大丈夫なのかと、不安でした。
ところが、口に入れればホロリ。とっても柔らかくなっていました。ワインのお陰でしょう。
かみしめれば、ほのかにワインの苦みを感じ、大人の味わいに仕上がっていました。少しだけ、塩味が足らない気がして、足しましたが、美味しくいただきました。
シチューを圧力鍋で時短料理
シチューも作る予定でしたが、これからさらに1時間以上を煮込みに費やすほどの忍耐は、記者にはありません。そこで、必殺「圧力鍋」を使うことにしました。
ほほ肉の表面の脂と膜を削ぐ処理をした後、大きめに切った肉に水を入れて圧力鍋で30分ほど煮込みました。
その後、予め炒めておいた玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジン、ニンニク、そしてデミグラスソース缶を入れてグツグツと、今度は圧力をかけないで弱火で煮込みました。とろみが出るまで煮込んで完成。結果、それでも1時間以上がかかったのですが…。
さて、実食です。
圧力鍋で煮た肉が柔らかくなっているのかどうか。ドキドキしながらスプーンを差し込むと、どうでしょう。キレイにホロリ。とっても柔らかくなっていました。そして、お肉から美味しい出汁が出たのでしょう。お肉の味わいが濃厚なビーフシチューが完成! 記者の夜の食卓のメインを飾ったのでした。
ついでに試した焼肉に、驚く
肉片を100gほど残して、焼き肉にしてみることに。焼肉料理の専門書をひも解くと、ツラミの切り方が詳しく載っています。
みなさんは焼肉店で、「ほほ肉」というメニューを見たことがあるでしょうか? 記者はありません。長時間煮込んでやっと柔らかくなるのですから、焼き肉になるなど思いもよりませんでした。
専門書にはさばき方が詳しく載っていました。
- ①表面の白い脂身と筋を取り除く
- ②端の肉が少し硬いので、切り落とす
- ③中に太い筋があって、それと並行に2等分
- ④今度は、太い筋をに垂直に、つまり断ち切るように包丁を入れて、3~4mmの薄さに切る
我ながらキレイにできたと思います。
さて、実食です。
一緒に食したスタッフたちの誰もが目を見合わせました。
塩・コショウだけですが、うま味がぎゅっと詰まった濃いめの味わい。ちょっとタンに似た感じがします。しかも、柔らかい!
もっと焼肉用に残しておけば良かったと後悔したものです。
今回は、「肉のこーべや」で購入した2つの「ほほ肉」、つまり、一頭分を3種の料理で堪能しました。計1kgの貴重部位ですが、出費は2,500円という安さだったことに、今さらながら驚きます。
では、未知なる部位と料理を求めて、牛肉珍味の旅はこれからも続きます。