「オビニク」その超美味な肉の正体やいかに?!
安堂光明会長が冷蔵庫から出してきたお肉は、ほんの300gくらいの肉塊。聞けば、黒毛和牛の「オビニク」とのこと。はて?
インターネットで検索しても、オビニクの説明は出て来ません。その名から想像すれば、帯のような形をして、お腹の周りをぐるりと取り巻いているのだろうか…。
「オビニク」とは実は、ハラミのことです。どうやら高森地区でしか通用しない呼び名のようです。
「これは黒毛和牛のオビニクだが、ちょっと小さくてね」。というわけで、今回の食材に提供いただきました。通常は牛1頭からは2~3kgが採れるとか。やはり貴重な部位に変わりありません。
その姿はまさしく帯
ハラミといえば、焼き肉店ではよく聞くメニューです。「ハラミは美味しいよねぇ」と焼肉好きの人にはたまらない部位。でも、焼肉用に処理する前の姿を見た人は少ないのではないでしょうか?
その姿はまさしく、オビニクなのです。
オビニクは牛の横隔膜の一部です。横隔膜とは、呼吸のときに使う筋肉。肺の拡張と収縮を繰り返して牛は呼吸をします。だから、四六時中ずっと動いている筋肉なのです。同様に常に動いている筋肉には心臓があります。ほほ肉(ツラミ)もやはりよく動く筋肉。そしてそれらはみな、とても美味しい。だからオビニクもまた、美味しいわけです。
まずは定番の焼肉から。
スジに対して直角に包丁を入れます。すると、赤身のなかに、目立たないけどちゃんと霜が入っているのが確認できました。
塩・コショウで味付けし、焼いて口にすれば、深~い旨味たっぷりの味わいが口に広がりました。「ハラミはやっぱり美味しいなぁ」とつぶやく記者です。
ネギ塩ダレのステーキ
少しかわった料理はないものかと調べていたら、ネギ塩ダレのレシピに出会いました。帯のままステーキにして、これにネギ塩ダレを載せて食べれば、美味しいに違いありません。
帯状のオビニクを15cmくらいに切って、塩・コショウで下味を付けてフライパンで焼きました。外には焦げ目、なかにも火が通りながらピンク色になるように…。
そして、ミジン切りにしたネギにごま油とおろしニンニク、塩とこしょうを加えて混ぜて、ネギ塩ダレを用意。ステーキの上に大胆に載せました。
これまでの牛肉珍味の旅のなかでも、トップクラスの美味しそうな見た目です。そして、ネギ塩ダレをたっぷり載せたまま、一切れを頬張ると、これまた、トップクラスの美味しさが広がりました。
なんと柔らかなステーキでしょう。柔らかさはヒレ肉に匹敵します。さらにレモンを絞ったネギ塩ダレのさわやかな風味と、オビニクの濃厚な旨味が合わさって、口のなかは大変なことになっていました。
「いままでで一番、おいしい!」とは、食いしん坊のあるスタッフの言葉です。
どこで手に入る?
すっかりオビニクの美味しさにハマった記者は、スーパーの店頭でこれを探すようになりましたが、なかなかお目にかかれません。なにせ、1頭につき2~3kgの希少部位です。しかも、オビニクはホルモンに分類され、鮮度管理に気を使うことも、店頭に並ばない原因のようです。
安堂グループ直営の肉のこーべや玖珂店なら、稀にこのオビニクに出合うことがあります。お店の人に頼んでおくと、タイミングによっては、手に入るかもしれませんね。
では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。